福田首相辞任

約一年、チンパンの異名をとる福田総理が辞任


「次から次へと、積年の問題が顕在化してきた。体制を整えた上で国会に臨むべき」--。就任から約1年。福田首相は1日夜、首相官邸で緊急記者会見を開き、突然の辞任に至った理由を淡々と語った。

 「なぜ、今辞めなければならないのか」「解散・総選挙対策なのか」。支持率の低迷にあえいだ福田首相は、これを挽回(ばんかい)するため、1か月前に改造内閣を発足させたばかり。国民の間には、驚き、失望、戸惑いが広がった。

 「政策実施の歩みを止められない」「大きな前進のための基礎を築けた」

 1日午後9時半から始まった首相官邸での緊急記者会見。福田首相は辞任を決意した心境を淡々とした表情で語った。

 昨年9月からの在任期間を振り返り、「参院選で過半数割れとなり、正直、政治資金、年金など積年の問題の処理に忙殺された」と、前政権などの負の遺産を強調する言い回しを最初は繰り返したが、続けて「将来を見据えて、誰も手を付けなかった国民目線での改革に着手した」と、“実績”も強調。

 時折、笑みも浮かべながら、消費者庁設置などの重要法案が審議される今月12日召集の臨時国会に向け、「体制を整えた上で臨みたい。政治の駆け引きで空白を作ってはいけない」と辞任を決意した理由を語った。

 その後の質疑応答で、この時点の辞任はかえって政治的な空白を招くのではないかという質問が飛ぶと、それまでの淡々とした表情が険しくなり、「無責任と言われると思うが、では、すべて私がやらなくてはならないのか」と語気を荒らげる場面も。「今が政治空白を作らない一番の時期と考え、新しい人に託した方がより良いと考えた」と続け、「私がこのまま続けるのと、新しい人がやるのとでは、間違いなく違う結果になる」と付け加えた。

 福田首相の地元である群馬県でも、突然の辞任表明に驚きの声があがった。

 福田後援会幹部で、高崎市の柳沢本次・元県議は「辞任の前触れはなかったので本当に驚いた。色々な批判にさらされ、辛抱、我慢もこれまでという思いなのだろう」と語った。