スマートフォン内の個人情報を抜き取るウイルスを仕込んだとしてアプリを提供した会社の元会長らが警視庁に逮捕された「ザ・ムービー事件」。
逮捕された5人全員が昨年末に不起訴になって以降、同種のアプリが横行している。ウイルス対策会社によると、今年になって見つかった情報抜き取り型アプリは20種類近くにのぼる。専門家は「悪質なタイプも多い。不起訴がお墨付きだと思ってほしくはない」と懸念している。
「ムービー事件が不起訴になってよかった」
こう歓迎するのは、無料アプリ「全国電話帳」を作った神奈川県のアプリ開発者の男性(34)だ。インストールすると、スマホに入っている電話帳内の住所、氏名、電話番号、メールアドレスが外部送信されるアプリで、昨年9月の公開以来、少なくとも76万人分の情報が男性側に送られたという。
その後、アプリの情報送信が問題視されたため、男性はいったん公開を中止していたが、昨年12月31日、「全国共有電話帳」と名称を変えて再び公開。「ザ・ムービー」事件で、元会長らの不起訴が発表された4日後だった。今月中旬にアプリ公開先のグーグルが「規約に違反する」として公開を中止させたが、それまでの間に約1万人分の情報を入手した。男性は「刑法に違反しないことは明らか」と主張する。
このほかにも、電話帳の内容を抜き取るアプリが続々と公開されている。ウイルス対策会社「シマンテック」は1月以降、少なくとも18種類を発見。「最速充電」などの名称で、スマホの充電時間を短くする機能を装うアプリもあったが、いずれも実際にはそうした機能はなかった。
2009年に島根県立大1年平岡都さん=当時(19)=が行方不明となり、広島県の山中で遺体が見つかった事件で、同事件への公的懸賞金制度適用が延長されたことを受け、島根、広島両県警合同捜査本部は26日、新たに作成したチラシを配布し情報提供を呼び掛けた。
JR松江駅(松江市)では26日朝、島根県警の彦坂正人本部長がチラシを配り、市民に協力を求めた。彦坂本部長は「いろいろな理由で情報提供できなかった人に、わずかな情報でも提供していただき、解決につなげたい」と話した。
平岡さんは09年10月26日午後9時すぎ、同県浜田市のショッピングセンターを出た後に行方不明となり、同年11月6日に広島県北広島町の臥竜山で、遺体の一部が発見された。