攻殻機動隊

アニメ製作会社のプロダクションI.Gは、士郎正宗原作『攻殻機動隊』の実写化のエージェント権を講談社から獲得したと発表した。
 『攻殻機動隊』は士郎正宗氏の人気マンガで、1989年に雑誌連載が始まった。作品の掲載誌を発行する講談社が原作利用権を保有している。
 一方、プロダクションI.Gは『攻殻機動隊』の原作をもとに、1995年の劇場映画『攻殻機動隊』、その続編にあたる『イノセンス』、テレビシリーズの『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』シリーズなどの世界的に大ヒットしたアニメを数多く制作している。


 プロダクションI.Gは今回の契約に基づいて、原作者や原作利用権保有者を代表して、『攻殻機動隊』の実写化権の販売とそれに伴う条件を交渉することになる。
 今後、同社はハリウッドなどの大手映画会社と実写化交渉を行なうとしている。また、今回の契約により、プロダクションI.Gにはエージェント手数料などの収益が発生する。 


 プロダクションI.Gは、劇場アニメ『イノセンス』の海外配給で、大手映画会社のドリームワークスと直接交渉を行った経験がある。また、テレビアニメシリーズでも『IGPX』をカートゥーンネットワークと共同製作している。
 日本のアニメ・映画などのコンテンツ企業は、米国のエンタテイメント企業との交渉が得意でないとされることが多い。しかし、同社は巧みな交渉力を発揮し、米国企業との交渉に強い会社として知られている。
 また、日本のコンテンツ企業の米国企業との交渉の多くが商社やテレビ局、広告代理店を通して行なわれるなかで、直接交渉できる力のある製作会社として貴重な存在でもある。


 今回、プロダクションI.Gが『攻殻機動隊』の実写化権のエージェエント契約を受けたことは、こうしたこれまでの成果に期待したものだと言える。
 また、『攻殻機動隊』が海外で知名度を広げたのは、プロダクションI.Gのアニメ作品のヒットによるところも大きい。同社が交渉の表に出ることは、交渉相手にとっても判りやすいだろう。


 肝心の実写化権の販売の成否だが、ハリウッドのメジャースタジオに販売される可能性は極めて高い。1995年の劇場版『攻殻機動隊』が、ハリウッドの大ヒット映画『マトリックス』に影響を与えたことが有名であるように、『攻殻機動隊』の海外での知名度は高い。
 海外にはマンガ、アニメの『攻殻機動隊』のファンが多数いるだけでなく、ハリウッドの業界人にもファンが多いとされる。ヒットの可能性が高い『攻殻機動隊』の実写化権は、多くの会社から高い関心を呼ぶだろう。
 だからこそ、そうしたなかから実写化を行うのに最も相応しい会社を見つけ出し、出来るだけ有利な条件を引き出す必要がある。そうした点に、プロダクションI.Gに期待されるものが大きい。